『《漢書・芸文志》研究源流考』


以前のエントリー「目録学について」で、次のように書きました。

なにより残念なのは、目録学に関する自分の理解が一向に深まらないことです。むしろ、最近では混乱をきたしています。その原因を考えてみて、適確に学説を整理せず、いい加減に読み飛ばしてきたことに思い至りました。目録学を勉強しなおすつもりです。

目録学というのは、二千年にわたる、大きな蓄積のある学問ですから、学説の整理だけでもたいへんなのです。きわめつけは中国最古の書目、『漢書』芸文志に関するものです。

『漢書』芸文志をめぐる学説の整理は、これまで十分には行われたことがなく、本書に冠せられた蔣宗福氏の序文にもあるとおり、研究の空白地帯でした。そういう意味で、この書物には期待していました。

 傅栄賢『《漢書・芸文志》研究源流考』(黄山書社, 2007)

6章から構成されるこの書物は、歴代の『漢書』芸文志研究を、4つに分けて検討しています。

  • 第2章「歴代史書注解派」(18節から成る)
  • 第3章「歴代目録本体派」(19節から成る)
  • 第4章「歴代学術考辨派」(11節から成る)
  • 第5章「歴代専題派」(14節から成る)

検討対象になっている研究の数が多いので、何かしら分ける必要があったのでしょうが、それぞれ「派」と呼ばれてもピンときません。流派と言えるような継承関係も想像できません。『漢書』注釈の一部として芸文志の研究をした「歴代史書注解派」が、目録学者たちの研究と性質を異にすることは理解できるのですが、その他の三つは便宜的に分けたとしか思えません。

それぞれの節において、いちいち学者の経歴・著書・学説を紹介しているのですが、どこかで見たことのある紹介がほとんどです。

とはいえ、近代の目録学研究における説の前後関係・影響関係などが明らかにされているのは、本書の長所でしょう。劉紀沢『目録学概論』は1931年に出版され、一方、余嘉錫『目録学発微』は1932年から1948年にかけての講義録です(正式出版は1963年)。一見、劉氏の著作が先行しているようですが、劉氏の書物の各章節に「武陵余氏の説を参用す」との注記があることに注意を促しています。

細かく見てゆくと、さらにおもしろい論点があるかもしれませんが、冗漫な記述が多いのは確かです。

*Webcat所蔵図書館 8館(本日付)。

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「『《漢書・芸文志》研究源流考』」への2件のフィードバック

  1. いつも勉強させていただいてます。
    劉紀沢『目録学概論』という本は知りませんでした。『目録学発微』とは大分ちがうところがあるのでしょうか。劉氏と余氏の関係も気になります。

  2.  Yangyangさん、こんにちは。ご覧いただきまして、ありがとうございます。
     『《漢書・芸文志》研究源流考』によると、劉紀沢(1901-1960)、江蘇省塩城の人、清華大学の研究院にて修学、梁啓超・王国維に師事、清華大学の図書館長を勤めた人物。『目録学概論』は1931年に上海の中華書局から出版、1934年に再版。台北の中華書局が1958年と1979年に影印出版した、とのことです。
     そのうち、機会を見つけて読んでみたいと思います。

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