『訓詁学史略』


 前回、訓詁学の概説書として、趙振鐸『訓詁学綱要』(陝西人民出版社, 1987)を取り上げましたが、その「後記」によると、同書は、趙氏が1979年、四川大学で訓詁学の授業を行った際に書いた講義用資料(受講者に配る、授業内容の書いてある教科書のようなもの、中国語では「講義」といいます)をもとにしている、とのことです。

 この「講義」をもとにして、改訂を加えたものが『訓詁学綱要』であるというわけですが、改訂した内容については、次のように説明してあります。

もとの”講義”と比べると、訓詁学の原理と方法の部分について補強し、訓詁学史の部分は大幅に圧縮し、訓詁学の重要図書の部分、すべてを省略した。もとの”講義”と比べて、まったく面目を違えた。

 確かに、そういわれてみると、訓詁学史と訓詁学要籍についての説明は『訓詁学綱要』にはありません。その部分について、趙氏は別の書物を書いています。それが『訓詁学史略』(中州古籍出版社, 1988)です。

 私はこの『訓詁学史略』を通読したわけではないのですが、拾い読みをしたことはあります。『訓詁学綱要』で利用されている辞書・注釈についての詳しい説明が、この『訓詁学史略』にはありますから、訓詁学の重要図書の解説として利用すれば、訓詁学についての理解をより深めることができます。

 そのように、『爾雅』や『詩経』の注釈などの、「訓詁学要籍」についての説明としても興味深く読めるわけですが、もちろん、通読すれば、訓詁学の通史として読めます。

 古代の訓詁文献について詳しい説明があるのは当然ですが、さらに宋代の「右文説」や朱子の訓詁学、そして近現代の訓詁学者として黄侃や沈兼士、王力などの解説まで、バランスもとれているように感じられます。

 趙振鐸は『訓詁学綱要』『訓詁学史略』という二つの補い合う書物により、訓詁学を語っているわけですね。

*趙振鐸『訓詁学史略』(中州古籍出版社, 1988) Webcat所蔵図書館は21館。

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