『古代漢語虚詞詞典』


中国社会科学院語言研究所古代漢語研究室『古代漢語虚詞詞典』(商務印書館)は、とても良い虚詞の辞典です。

  1. 虚詞の原義に始まり、その後の歴史的な変遷を概観してあること。
  2. 品詞を区別し、さらにその意味・用法を適切に(簡単すぎず・煩瑣すぎず)分けて記述し、文における位置と機能を明記していること。
  3. 用例の選択が厳密であり、用例が豊富であること。

これだけの条件を満たす辞典は多くありません。「虚詞なら『漢語大詞典』を見ればよい」という人もいますが、『漢語大詞典』はこれらの条件を満たしていません。

凡例によると、次の合計1855条の虚詞を収めています。

  • 単音虚詞が762条
  • 複合虚詞が491条
  • 慣用詞組が289条
  • 固定格式が313条

単音虚詞というのは、どの虚詞辞典にも収める「于」「所」「以」などですが、複合虚詞・慣用詞組・固定格式については説明が要りますから、少し例を挙げましょう。

複合虚詞とは、「庶幾」「然則」など。「庶幾」は二字で副詞となり、「然則」は二字で連詞となります。

慣用詞組とは、「非唯」「如何」など。それぞれ二字でひとつの品詞とならず、「非唯」は副詞「非」と副詞「唯」とを結合させたもの、「如何」は動詞「如」と疑問代詞「何」とを結合させたもの。慣用的に二字同士で結びつくことが多いが、文法上、二字でひとつの詞として扱われない点で、複合虚詞と異なります。

固定格式とは、「既…又…」「雖…然…」など、一定の呼応関係をもつもの。

以上のように、単音(単字)の虚詞のみならず、複音の虚詞を収録している点も、本書の特徴です。実用上、この方が便利です。

本書の序文によると、本書の編者の多くは、『古代漢語虚詞通釈』(何楽士・敖鏡浩・王克仲・麦梅翹・王海棻 編、北京出版社、1985年)の編者と共通する、とのことです。しかし、『古代漢語虚詞通釈』の蕪雑さとは比較にならないほど、本書『古代漢語虚詞詞典』はよく整理されています。

*中国社会科学院語言研究所古代漢語研究室『古代漢語虚詞詞典』(商務印書館、1999年) Webcat所蔵図書館は39館(本日付)。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中