『古代漢語虚詞詞典』の附録


このところ当ブログで取り上げている、中国社会科学院語言研究所古代漢語研究室『古代漢語虚詞詞典』(商務印書館)の話題の続きです。

この書物の附録、といっても、ただ「主要参考書目」と「例句引用古籍書目」の二つ、ページにしてわずか20ページほどのものに過ぎません。しかしながら、こうして二つの目録を添えたことは、とても良心的なものと感じられます。

まず、「主要参考書目」。『説文解字』から『広釈詞』まで、47種の語学書が、時代順に並べてあります。『説文解字』『広韻』など、古代の辞書が見えるのはもちろん、そして段玉裁『説文解字注』など、伝統的な小学研究が見えるのも当然ですが、それらとともに、馬建忠『馬氏文通』、呂叔湘『文言虚字』など、近代的な研究書が連ねられています。

いうまでもなく、先行研究をまとめれば書物になる訳ではありませんから、これら47種の参考書を読めば『古代漢語虚詞詞典』が出来るわけではないのですが、このブック・リストを一つの参考として、語学書を書架に備えてみるのもよいかも知れません(完備を目指す、という意味ではなく)。

呂叔湘『文言虚字』(上海教育出版社、1959)は、私の好きな書物の一つです。私の持っている本(上海教育出版社、1978)は、150ページほどの薄いもので、本文は112ページしかありませんが、その内容は充実しています。そのうち、このブログでも取り上げます。

『文言虚字』は代表的な虚字、24字について微に入り細をうがって説明した解説です。両書をつきあわせて確認してみますと、『古代漢語虚詞詞典』には、『文言虚字』の内容が十分に取り入れられていると思われました(素人考えなので、いい加減なことを言うと、文法学者に叱られるかも知れませんが)。やや煩瑣にわたる『文言虚字』の解説をこうしてうまく整理するとは、恐れ入ったものです。

もう一つの附録、「例句引用古籍書目」は、本書に大量に引用される、古典の例句の厳密な出典を一覧表にしたものです。出典が古くは金文・経書から、新しくは章炳麟に及んでいることにも驚かされますが、特筆すべきは、それぞれについて、善本・精校本を選んで引用していることです。虚詞のような微妙なものは、異文を生じやすく、特に慎重に扱うべきでしょうから、依拠した版本が明記されているのは、ありがたいことです。良い校本がある場合はそれを、良い校本がない場合は『四部叢刊』本などの善本を選ぶなど、丁寧な様子がうかがわれます。

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