礼学の復興なるか


 中華人民共和国の国力が日に日に高まっている今、「では中国とは何か、中国人とは何か、中国文明とは何か」という問いが、外からのみならず、内からも、つまり中華人民共和国の国民たちからも湧きあがっていることは、実に自然の勢いというべきでしょう。「自分たちの文明の核心をつかみたい」という希求は、前に一歩を踏み出している時にこそ、高揚するものです。  

 「中国文明の核心とは何か」、この問いに対する答えは一様であるはずがありませんが、「礼こそが中国文明の核心である」という答えに首肯する人は、少くないと想像されます。

  では、その礼とは何なのか?この問いは少なくとも孔子のころ以来、中国においてずっと問われてきたものであり、巨大な蓄積を有するのですが、ところが、現在の中国において、自信をもってこれに答えることができる人は、わずか数人程度、ということになりそうです。礼を研究する学問、「礼学」は絶学、礼を掌握している人は何億人に一人、そういう状況なのです。

  文化大革命は、中国の伝統文化を大きく損傷しました。その傷が、「礼の絶学」として顕在化しているのです。

 しかし考えを変えるなら、絶学であるはずの状況の中で、少数ではあっても自信をもって礼を説くことのできる人が現にいることは、大きな救いである、そう思い至ります。清華大学の教授である彭林氏は、まさにそのような「現代における礼の語り手」なのです。

  • 『周礼主体思想与成書年代研究』中国社会科学出版社,1991年。増訂版,中国人民大学出版社, 2009年。
  • 『儀礼全訳』貴州人民出版社,1997年。
  • 『中国古代礼儀文明』中華書局(文史知識文庫),2004年。
  • 『中華伝統礼儀概要』高等教育出版社,2006年。

  そのほかにも、経学研究の再興を告げる雑誌、『中國經學』(第1-5輯. 広西師範大学出版社)の主編を務め、多くの礼学著作の整理を行うなど、精力的な活動をしていらっしゃいます。

 いったん衰亡した礼学は、果たして復興を遂げるのか否か。復興の旗手たる彭林氏の学術活動に大いなる関心をもち、事の帰趨を見守っているところです。

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「礼学の復興なるか」への4件のフィードバック

  1. 『周礼主体思想与成書年代研究』中国社会科学出版社,1991年、ですが、2009年に増訂版が、中国人民文学出版社から当代中国人文大系の一冊として出版されております。不勉強でどれほどの増訂がされているのかはまだ読んでいないのですが、新たに附録として、90年代後半から今世紀に入って発表された4篇の論考と、彭林先生が博士論文として本論考を著されるに至った経緯と師弟関係を語られた「亡尤室問学偶記」、そして先生の85年より09年までの著作目録が附されております。 すでにご存じかとは思いつつ、コメントさせて頂きました。

  2.  Chunxueさま、コメントいただきましてありがとうございます。
     私もその本は増訂版しかもっておらず、増訂版があることは存じておりました。序文によると、附録はともかく、本文には大きな変更がないようなので、初版を挙げた次第です。
     しかし、新たに購入するなら増訂版しかないので、書いておけばよかったですね。いずれにせよ、ありがとうございました。そのうち、この書物も紹介する予定です。

  3. この書物は購入しながら、まだ附録の一部を読んだだけです。取り上げてくださる日を心待ちにしております。

    1.  Chunxueさま、ありがとうございます。ちょっと先になるかも知れませんが、必ず紹介いたしますので、少々お待ち下さい。

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