『七略別録佚文 七略佚文』


bielu目録学の基礎文献、『別録』『七略』は、とうに失われてしまっているので、利用するにはそれらの佚文を集めた輯佚書が必要です。普通、姚振宗『七略別録佚文』『七略佚文』が用いられています。

以前、姚振宗の著作を収めた『師石山房叢書』をご紹介しましたが、そのさい、近年刊行された鄧駿捷校補『七略別録佚文 七略佚文』(上海古籍出版社、二〇〇八年)に触れ、いずれ紹介すると申しあげていました。

最近、同書を使ってみたのですが、結論からいって、この本はおすすめできます。かなり丁寧な仕事が施してあり、開明書店版を使い続ける必要もなさそうです。『別録』や『七略』を見る際には、今後、この本を用いることにしたいと思っております。

この本を眺めつつ、姚振宗の書物自体に問題があることに気がつきました。それは、姚氏の提示している佚文が、いくつかの来源からの佚文を合成したものである場合が多いということです。

たとえば、『七略別録佚文』「六芸略佚文」中の「『雅歌詩』四篇」に当てられた佚文は次の通りです。

漢興以來,善雅歌者魯人虞公,發聲清哀,遠動梁塵,受學者莫能及也。〔嚴本、馬本。〕(《藝文類聚》巻四三、《〈文選・成公子安《嘯賦》〉注、《事類賦注》巻一一)

「嚴本、馬本」というのは、姚氏自身の注記であり、厳可均『全前漢文』、馬国翰『玉函山房輯佚書』が集めた佚文による、という意味。その下に続く括弧の中は、整理者である鄧氏の注記であり、どの書物によって佚文が集められたのか、つきとめたものです。

鄧氏の指摘により、『芸文類聚』、『文選』注、『事類賦注』に当たってみました。

  • 「漢興以來,善雅歌者魯人虞公,發聲清哀,遠動梁塵。」(『芸文類聚』引『別録』)
  • 「漢興,善歌者魯人虞公,發聲動梁上塵。」(『文選』李善注引『七略』)
  • 「漢興以來,善雅歌者魯人虞公,發聲清泉,蓋動梁塵,受學者莫能及也。」(『事類賦注』引『別録』)

いずれも、姚氏の提示した佚文(鄧氏の指摘によれば、馬国翰の佚文を踏襲したもの)と一致しません。つまり姚氏の佚文は、複数の佚文を合成して作ったものだということになります。

余嘉錫『目録学発微』が、この一条をうっかりと、『文選』注の引用にかかる『別録』の佚文としていたので、調べてみました。余氏も、あまり確認せず姚氏の輯佚書を用いたのでしょう。我々も気をつけたいものです。

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