『七録』佚文


阮孝緒という人物は、梁の時代、普通四年(523)に『七録』という目録を書きました。阮氏は幼少の頃から書物を大いに好み、そして倦むことなく書物を読み続け、当時、入手可能であったあらゆる目録を集め、この目録を完成させたといいます。たいへんな愛書家であり、我々の先達であったというわけです。

『七録』という書物自体は、すでに失われていますが、釈道宣(596-667)『広弘明集』という仏教の書物に、その序文などが引用されています。

これらは、仏教の典籍の一部として伝えられており、長い間、一般の学者の眼に触れることがありませんでした。清の時代、厳可均(1762-1843)が編纂した『全梁文』(『全上古三代秦漢三国六朝文』746巻(!)の一部)には、この文章が収められており、広く知られるようになりました。

『七録』は、有名な『隋書』経籍志(魏徴(580-643)の撰)の依拠資料の一つとしても知られており、目録学上、貴重な資料ですが、残念なことに、信頼に足る輯本がありません(【追記】を参照)。厳可均の輯本も、ただ『広弘明集』を録するのみで、他書に見える佚文を収めていません。

そこで、阮孝緒『七録』に関する資料を集めてみようと考えています。試みに、このブログでも少々資料を紹介したいと思います。ただ、今の段階で完成版をお示しすることはできませんので、初歩的な材料を挙げるにとどまることをご容赦ください。

そもそも、『広弘明集』の版本からして問題があります。よく用いられる大正新修大蔵経、ならびにその底本である高麗蔵経本は、『広弘明集』に関する限り、たいへんに問題の多いテクストなのです。しかし、一連のエントリにおいては、とりあえず、大正新修大蔵経、第52巻をもとに句読を施し、資料を紹介するつもりです。いずれ、詳しい校勘記をつけた校訂版を用意いたします。なお、大正新修大蔵経の利用に際しては、CBETA(http://www.cbeta.org/)の電子版を利用させていただきます。

【追記】新しい『七録』輯本が出版されたことを、先ほど知りました。

  • 任莉莉『七録輯證』 上海古籍出版社, 2011年。

しかし、しばらくは自分のできることをやってみたうえで、その後、任氏の輯本を検討してみたいと思います。

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“『七録』佚文” への 2 件のフィードバック

  1. 大変興味深いです。
    私で出来ることがあったらなんなりとおっしゃって下さい。
    私も私なりに方法を考えてみます。

  2. Whitestonegさま、こんにちは。そうですか、ご関心お持ちですか。協力して作業してみてもよいですね。どうぞ、よろしくお願いいたします。
    お手すきのおりにでも、磧砂版あたり(できれば他の宋版も)、コピーしてお送りいただければ幸いです。輯佚の方針についても、またご教示ください。
    では、失礼します。
    学退上

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