『唐律疏議』名例律の篇題疏


『唐律疏議』(元来の書名は『律疏』)は、唐代の永徽律につけられた注釈で、三十巻、長孫無忌(?-659)らの撰、永徽四年(653)の成書。この注釈の一番はじめの部分は少し変わっています。

唐律は、名例第一、衛禁第二、職制第三、戸婚第四、厩庫第五、擅興第六、賊盗第七、闘訟第八、詐偽第九、雑律第十、捕亡第十一、断獄第十二、以上、十二の律から成り立っていますが、その第一、「名例」の篇題につけられた疏のことです。

劉俊文校『唐律疏議』(中華書局、1983年)によって、その全文をお示しします。

  • 夫三,萬;稟,人。莫不憑黎元而樹司宰,因政教而施刑法。其有情,識,大則亂其區宇,小則睽其品式,不,則未。故曰「以刑止刑,以殺止殺。」刑不可,笞不得。時,用。於是結,盈;輕,大。『易』曰「天垂象,聖人則之。」觀雷而制威,睹秋而有肅,懲,而防;平,而存,蓋聖王不獲已而用之。古者大刑,其次;中刑用刀鋸,其次用鑽笮;薄刑用鞭扑。其所由來,亦已尚矣。昔白、白,則伏、軒;西、西,則炎、共。鷞於少,金於顓。咸,典。大,撃。逮,化,議,畫媿,所有條貫,良多簡略,年代浸遠,不可得而詳焉。堯舜時,理官則謂,而皋,其,而往,則『風俗通』所云「皋陶謨,虞造律」是也。
  • 者,訓銓,訓法也。『易』曰「理財正辭,禁人為非曰義。」故銓量輕重,依義制律。『尚書大傳』曰「丕天之大律。」注云「奉天之大法。」法亦律也,故謂之為律。昔者,聖人制作謂之為經,傳師所説則謂之為傳,此則丘明、子夏於『春秋』、『禮經』作傳是也。近代以來,兼經注而明之則謂之為義疏。疏之為字,本以疏闊、疏遠立名。又『廣雅』云「疏者,識也。」案疏訓識,則書疏記識之道存焉。『史記』云「前主所是著為律,後主所是疏為令。」『漢書』云「削牘為疏。」故云疏也。昔者,三王始用肉刑。赭衣難嗣,皇風更遠,樸散淳離,傷肌犯骨。『尚書大傳』曰「夏刑三千條。」『周禮』「司刑掌五刑」,其屬二千五百。穆王度時制法,五刑之屬三千。周衰刑重,戰國異制,魏文侯師於里悝,集諸國刑典,造『法經』六篇,一、盜法;二、賊法;三、囚法;四、捕法;五、雜法;六、具法。商鞅傳授,改法為律。漢相蕭何,更加悝所造戸、興、廏三篇,謂九章之律。魏因漢律為一十八篇,改漢具律為刑名第一。晉命賈充等,增損漢、魏律為二十篇,於魏刑名律中分為法例律。宋齊梁及後魏,因而不改。爰至北齊,併刑名、法例為名例。後周復為刑名。隋因北齊,更為名例。唐因於隋,相承不改。者,五刑之罪名。者,五刑之體例。名訓為命,例訓為比,命諸篇之刑名,比諸篇之法例。但名因罪立,事由犯生,命名即刑應,比例即事表,故以名例為首篇。者,訓居,訓次,則次第之義,可得言矣。者,太極之氣,函三為一,黄鍾之一,數所生焉。名例冠十二篇之首,故云「名例第一」。
  • 以上,英,潤春於品,緩秋於黎。今,前,章,鴻,而刑,執,大,刑。一,一。不,觸。皇帝彝,納。德禮為政教之本,刑罰為政教之用,猶昏曉陽秋相須而成者也。是以降綸於台,揮折於髦,爰,大。遠則皇,近則蕭、,沿,自,甄,裁。譬權,若規。邁,同者矣。

お示しした文章は、原文では段を分けていませんが、考えがあって三段に分けました。その理由は、私の分けた第一段と第三段が駢文によって書かれているのに対し、両者の間に位置する第二段が駢文ではない、ということです。その第二段は、典型的な注釈の文章、義疏の文章になっています。

駢文の部分、平仄を合わせたらしいところにつき、平声を赤、仄声を青で表示しました。これを見ると、たとえば王勃(650-676)以後のような完全な平仄ではありませんが、基本的には平仄を意識していることが看取できます。

また句末の文字に着目すると、仄/仄と重なっている場合(つまり「平仄が合っている」とは言えない場合)でも、互いに上・去・入をたがえ、声調による区別をしており、音響を意識して書いています。

  • 「憑黎元而樹司(上),因政教而施刑(入)」
  • 「大則亂其區(上),小則睽其品(入)」
  • 「咸有天(入),典司刑(去)」
  • 「所有條(去),良多簡(入)」
  • 「潤春雲於品(入),緩秋官於黎(去)」
  • 「不有解(入),觸塗睽(去)」
  • 「降綸言於台(上),揮折簡於髦(去)」
  • 「甄表寬(去),裁成簡(上)」

それに対して第二段は、「律名例第一」の書名と篇題とを解釈したもの、一字一字に対し、その訓詁と内容を説き、なぜ「律」「名」「例」「第」「一」の語が使われているのかを、いちいち解釈しています。典型的な義疏のスタイルで、平仄への意識は欠如しています。

このような二種の文体が、ひとつの文章にまとめられている点に、たいへん興味をひかれました。小さな発見かもしれません。

【ご参考まで】

平仄につきましては、当ブログの二つの記事をあわせてお読みください。

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