『三礼名物通釈』


銭玄(1910-1999)氏の『三礼名物通釈』を読みました。

錢玄『三禮名物通釋』
江蘇古籍出版社,1987年
南京師範大学古典文献研究所専刊 2

書名にある「名物」とは、物の名称のこと。今と昔とでは、物も言葉も変化していますから、古代の名物を知ることは、今となってはかなり困難なのです。古代において行われていた「礼」は、学びにくいものの代表で、まずは物の名称を知らねば、礼書を読んでも理解できない、だからこそ、まずは名物を知るべきだ、というのが、著者の主張です(本書、自序)。

目次は以下の通り。

第一 衣服篇

  1. 布帛
  2. 色采
  3. 冠冕
  4. 衣裳
  5. 韍舃
  6. 服制

第二 飲食篇

  1. 飯食
  2. 酒漿
  3. 膳牲
  4. 薦羞
  5. 器皿
  6. 飲食之禮

第三 宮室篇

  1. 都城中城
  2. 房屋結構
  3. 堂序房室
  4. 門塾廳階
  5. 寢廟深廣
  6. 璧廱明堂

第四 車馬篇

  1. 車輿稱謂
  2. 車輿形制
  3. 馬名與馬飾
  4. 乘車之法
  5. 駕馬之法

たとえば、「衣服篇」の「布帛」の項目の冒頭には、大きな文字で「麻織之總名曰,絲織之總名曰」とあります。このように簡潔に内容を述べた上で、小さな文字で、経典やその注釈を根拠として明示し、そして必要に応じて清代以降の学者の説などを紹介しています。

本書の内容は簡にして要を得たもので、大字の部分は、すべて覚えてしまいたいくらいです。まずは大字の部分に目を通し、その上で気になる部分の説明をじっくり読むとよいようです。

もちろん、本書の説明は三礼の名物の全体に及んでいるわけでなく、限られたものではありますが、この150ページばかりの薄い本を通読したところ、視界がずいぶんと明るくなりました。常識的なものではありますが、常識の確認も時には大切だと感じます。

本書以外にも、銭玄氏は礼に関する次の二書を書かれています。

  • 錢玄『三禮通論』南京師範大學出版社 1996年
  • 錢玄、錢興奇編『三禮辭典』江蘇古籍出版社 1993年 (本書のことは、過去の記事に書きました)

この二書を通読したことはありませんが、疑問がある場合にはいつも参照しています。

それにしてもこの『三礼名物通釈』、1987年発売当時の価格が1.60元。当時としては普通だったのかもしれませんが、新刊書の価格が高騰した今となっては安価です。手に取ると、感慨深く思われました。

【補】銭玄氏について、徐富有氏が書かれた文章「钱玄:学礼有成」が、「中国社会科学报刊网」に掲載されていました。もともとは《中国社会科学报》第177期16“学林”に載ったもの、とのこと。

文中に見える、銭氏の弟子、方向東教授には、親しくお付き合いいただいております。少し前に中華書局『史記』の点校をなさり、私にも一部くださいました。南京師範大学の漢学研究に敬意を表しつつ、友誼に深謝しております

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