日本漢文のなかの固有名詞


『論語義疏』の標点本はいくつかあるようですが、私が最近読んだのは、高尚榘氏のものです。『論語義疏』高尚榘校點,中華書局,2013年。

武内義雄が整理した懐徳堂本に依拠した本であり、かなりよく懐徳堂本の本文を伝えています。附録として、大正十二年(1923)五月に西村天囚(1865-1924)が漢文で書いた序まで載せてあるのもありがたいことです。

その序のなかに、「暨應神朝,百濟獻《論語》,孔子之書,始入我國」とあります。もちろん、応神というのは我が国の天皇の名ですが、標点を見ると、整理者はそれに気づいていないようです。

また、「謹按先皇教育勅語示法後世,炳如日月,其所謂忠、孝、友、和、信,與智能、德器、恭儉、博愛、義勇等條目,皆符於孔子之教」ともありますが、どうも「教育勅語」が固有名詞であることを知らなかった様子です。

標点者はほぼ正確に著者の意図をくみ取っているものの、ちょっとした知識のギャップもうかがわれて、何となく面白く思われました。

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