『正史宋元版之研究』


songyuanban尾崎康先生の『正史宋元版の研究』(汲古書院、1989年)が、中国の正史について最も確かな版本学的研究であることは、いまさら言うまでもありませんが、この大業績が中国語に訳出されました。

正史宋元版之研究
(日) 尾崎康著 ; 喬秀岩, 王鏗編譯
中華書局 2018年

この中国語版、単なる日本語版の翻訳ではありません。本書を読むと分かる通り、尾崎先生は日本語版をお出しになった後も精力的に調査を続けられており、北京の国家図書館、北京大学図書館、上海図書館、復旦大学図書館などの蔵書をお調べになって、それぞれ成果をまとめていらっしゃいます。このたびの中国語版には、それらの成果が全面的に盛り込まれており、さらに充実した増訂版となっています。

本書は、橋本秀美氏のご尽力によって成ったものとの由、同氏「漢訳増訂版編後記」に記されております。この編輯自体も、それ自体たいへんなお仕事です。

汲古書院版をすでにお持ちの方も、ぜひこの素晴らしい学術成果を、新たに一冊お求め下さい。

【追記】

張麗娟氏の書評も公開されていますので、あわせてお読み下さい。

张丽娟评《正史宋元版之研究》︱古籍版本研究的典范之作

https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_2211323

 

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