作品のはなし


私は海の近くに住んでおり、朝起きると砂浜に出かけます。漂着物を使った作品を作るための材料を集めに行くのです。そのために、ここに住んでいるようなものです。

流木を主とした作品を作っているので、それを重点的に集めます。流木とひとくちに言っても、材質も大きさも痛み具合もさまざまで、同じものはひとつとして存在せず、新たな流木との出会いは、若い頃とかわらず、いつも楽しいものです。

それ以外にも、石、貝殻、ガラス、そして異国で作られたプラスチック容器など、いろんなものを集めます。それらはすべて作品のもとになるのです。

ただ、いくら魅力的な漂着物でも、私の小さなリヤカーに載せられないほど大きなものや、私の倉庫に収まらないようなものは、あきらめざるをえません。残念ですが、しかたのないことだと思います。

こうしてリヤカーで自宅の倉庫に運び、ある程度の時間をかけて洗浄し、ざっと加工します。漂着物は、そのままでは作品に使えないので。この手間を惜しむとロクなことにならず、過去の失敗もありました。その後、自分なりに腑分けして、わかりやすいように収納するのです。ただ、片付けが苦手なので、人様から見れば乱雑なものでしかありませんが。

このようにして、私は作品の材料を集めます。それはすべて作品を作るためであり、蒐集癖のせいではありません(それも少しありますけど)。いつも海辺で、この材料を、作品のどこにどうに使おうか、想像をめぐらせながら拾うのです。作品の規模にもよりますが、だいたい、百個程度の材料を組み合わせ、ひとつの作品を作ってゆきます。

【付記】昨日(2023年10月21日)、Mondに以下の回答を投稿したのですが、意を尽くしていなかったので、ここに譬え話を書きました。下のように読みかえてください。

https://mond.how/ja/topics/37h2amaw3fjwtnv/otktnmemg2ybn26

「海」→「人類の叡智」

「砂浜/海辺」→「図書館・書庫・データベース」

「漂着物/材料」→「資料等」

「作品」→「論文」

「リヤカー」→「自分の理解力」

「倉庫」→「メモ」

「洗浄・加工」→「読解と整理」

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