『説文』第1篇の序列


第10部丨
第10部丨

以前にご紹介した『説文』540部の暗記法を、14篇すべてにわたり公開することにします。私家版ですが、もしも勉強してみたい、という方がいらしたら、どうぞご活用下さい。

  • 『説文』第15篇の上は、許慎の序文と目録から成っており、第1部「一」から第540部「亥」までを列記しています。『説文解字注』では、これを段玉裁が解説しており、その序列の意味を説いています。これを読めば、どんな基準で部首が並べられているのか、分かる仕組みです。だいたい段注に従って、14篇それぞれにつき、「許慎の意図」を説明してゆきます。
  • 読誦しやすいように、ほぼ5字ずつ区切ってあります。まったく正統派の方法ではなく、あくまで便法ですが、一応、載せておきます。

Yī shàng shì sān wáng, yù jué qì shì gǔn.

一丄示三王,玉玨气士丨。

Chè cǎo rù mǎng.

屮艸蓐茻。

まず第1「一」から。段玉裁は何とも言っていませんが、『説文』の本文に「道立於一」とありますから、ここからすべてが始まるのです。それを承けて第2部「丄」、楷書では「上」と書きますが、古文の形は短い横線と長い横線を上下に重ねたものなので、「一」を承けて登場します。段玉裁は「蒙」という言葉でそれを表現しています。第3部「示」は、古文の「上」に従う形。第4部「三」は、「示」の下の部分を横にしたもの。第5部「王」は「三」を承けます。

第6部「玉」も同じ(「玉」の篆文には点がありません)。第7部「玨」は、「玉」を二つ並べた形(段玉裁は「並之重之」と表現)。第8部「气」は、第部の「三」を変形した形(小篆の「气」は三本線で書く)。第9部「士」は、「王」(「一」で「三」を貫く形)を承け、十と一を合わせた形(『説文』に「十一に従う」とあります)。第10部「丨」は、「王」「玉」の縦線。

第11部「屮」は、「丨」を承ける。第12部「艸」は「屮」を並べた形。第13部「蓐」は「艸」を承ける。第14部「茻」は「艸」を重ねた形です。

第1篇上は「丨」まで、第1篇下は「屮」から。

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